【フィンランド・自然と生活 Vol.1】ネイチャーガイドが綴るフィンランド生活。薪の火と自炊、サウナから見えた「自然を享受する」本質

Moi! モスラです。 フィンランドでワーホリを始めて、ロシア国境近くのパリッカラ(Parikkala)でのステイを開始してから2週間が経ちました。

ここでの生活はとてもゆっくりと流れています。 犬の散歩をし、午後は家のお湯や暖房のためのセントラルヒーティングの管理。朝・昼・夕の三食はすべて自炊です。コンビニもありませんし、スーパーへは2週間に1〜2回、まとめて買い出しに行きます。

暖炉の前で火の番をしていると、薪がはぜるパチパチという音が響きます。その音を聴いていると、ふと日本でお世話になっているお茶屋の囲炉裏を思い出しました。

「手間暇をかける中にこそ、人の気持ちや思いなどの温かみがある。昔の暮らしに触れることで、そんなことを思い出してほしい」

ご主人のその言葉を、当時は言葉として理解したつもりでした。あえて現金のみ、電波も届かず、少し薄暗い。けれど火の音や暖かさ、木の温かみに気づけるそのお店の在り方を。しかし今、自然が近いここでの暮らしと向き合い、ようやく「体で理解できた」と感じています。

■ 3時間、あるいはそれ以上「火」と向き合う

暖炉の管理には、毎日3時間以上はかかります。 温めにかかる時間は外気の気温にも左右されるため、寒い日ほど火との対話は長くなります。倉庫から薪を選んで運び出し、燃え方や持続時間を考えながら火を熾す。暖炉が壊れないように、送る酸素の量や火力をコントロールする。

時間はかかるし、火の前でできることは限られています。ですが、この火がなければ凍えてしまうし、シャワーを浴びることもできません。自分の手を動かした先にようやく得られる「暖かさ」は、スイッチ一つで手に入るものとは全く別質の、温もりです。

驚いたのは、その木々が、日々散歩している森の木をじっくり乾燥させて薪にしているということ。景色として眺めていた森が、年月を経て自分の生活につながっている。実感として自然とつながっている感覚が、ここにはあります。

■ 「Hanki kanto(ハンキ・カント)」:言葉に宿る、暮らしの知恵

最近、耳に残っているフィンランドの言葉に「Hanki kanto(ハンキ・カント)」があります。 雪を意味する「hanki」と、支えることを意味する「kanto」。春先、溶けた雪が夜に凍り、表面がカチカチになった状態を指します。

これは「木を運べるほど硬くなった雪」という意味でも使われ、重い薪を運び出すための大切な季節のサインです。フィンランドの言葉には、自然と暮らしの関わりがそのまま溶け込んでいるのだと、凍った雪の上を歩きながら肌で感じています。

日本にいた頃もネイチャーガイドとして意識はしていましたが、今は、天気や気温、地面のぬかるみがそのまま自分の暮らしに直結している。言葉を詩として聞き流すのではなく、日々の生活を考えるための大切な指標として受け取っています。

■ 「Kiitos saunasta(キートス・サウナスタ)」:日常に溶け込む感謝

週に一度、白樺の木を薪にくべてサウナに入らせてもらっています。上がった後に交わされる「Kiitos saunasta(サウナをありがとう)」という言葉。サウナは日常であり、暮らしの一部であり、そこには自然へのリスペクトも感じられます。

日本にいた頃、サウナは体を癒やすために「行く場所」であり、持っている人は「おしゃれで羨ましい」という感覚でした。正直、日本に帰ってもサウナが家に欲しいし、おしゃれな暮らしもしたい!とも思います(笑)。

ですが、その憧れよりも先に、今は身近なことの大切さを丁寧に見つめていたい。その生活が自然との営みにつながり、その営みが自然の景色を作る。そんな瞬間瞬間を感じて生きていくことを、ここで実感しています。

■ 模索の先にあるもの

元々料理は好きでしたが、以前の食事はあくまで「嬉しい栄養摂取」でした。 しかし今は、安い小麦粉をベースにしながらも、どう栄養をとり、日々を楽しくするかを自分で考えて作ります。簡単に手に入らないからこそ、失敗すれば本気で悲しいし、うまくいけば本当に嬉しい。日常の料理ひとつで、こんなに感情が動くことは今までなかったかもしれません。

現代では、「自然を守るためにやるべきこと」と「ただ消費するだけの生活」が、全く別のものとして切り離されてしまっている気がします。 でも、すべてがつながって循環している今のフィンランドでの暮らしは、昔の日本の暮らしや、今でも日本の田舎暮らしであれば残っているような、忘れられがちだけれど本当は必要な「暮らし」であり「考え方」であると感じています。

この手触りを、日本でガイドとしてどう表現していくのか。正直なところ、今はまだ模索中です。 ただ、僕が求めている「自然の感じ方」や「人と自然のつながり方」のヒントが、この丁寧な暮らしの中にある。そんな確かな予感があります。

フィンランド生活は始まったばかりですが、この暮らしの中にある温かみを忘れないように、自然を享受しまくりたいと思います(笑)。一歩ずつ、進んでいこうと思います。

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