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【フィンランド・食と文化 Vol.1】本場カレリアで挑む、伝統料理「カルヤランピーラッカ」自作奮闘記

Moi! モスラです。 フィンランドの春はもうすぐそこ。 日差しが少しずつ力強さを増し、森の空気もどこか緩んできたような気がします。 そんな穏やかな春の気配を感じる中、先日スーパーで見慣れない袋を見つけました。「お粥用の米(Riisipuuroon tarkoitettu riisi)」です。前から気になっていたので、この機会に買ってみることにしました。 せっかく本場カレリア地方に身を置いているのだから、この米を使って伝統料理をゼロから作ってみよう。そう思い立ったのが、今回の「カルヤランピーラッカ(Karjalanpiirakka)」作りの始まりでした。 今回のレシピ(材料) 伝統的なレシピを参考に、手近な材料でアレンジした。 理想と現実、そして「乾燥」との戦い まずは中身のお粥作りから。鍋に米と水を入れ、水分がなくなるまで炊く。そこに豆乳を加え、焦げないように弱火でじっくりと。 その間に生地を練り、棒状にしてから小さく切り分け、円形に薄く伸ばしていく。理想は、餃子の皮と同じくらいの薄さだ。 ところが、いざ包もうとした瞬間に問題が発生する。お粥が熱すぎて生地にのせられないのだ。かと言って冷めるのを待っていると、フィンランドの乾燥した空気のせいで、大事なライ麦生地がどんどん乾いていく。 このままでは成形中に生地が割れてしまう。 焦りの中で思いついたのは、お粥を冷蔵庫へ放り込み、さらに生地の乾燥を防ぐためにラップと濡れたキッチンペーパーで保護するという力技だった。 偽物疑惑と、厳格すぎる「定義」 なんとか形にして、250度のオーブンへ。 香ばしい匂いと共に焼き上がった。 だが、その姿を見た友人に「それはカレリヤンピーラッカではなくリーシピーラッカ(Riisipiirakka:ライスパイ)なのでは」と疑われてしまった。 心配になって調べてみると、驚いたことにこの料理には法的にも厳格なルールが存在した。 カルヤランピーラッカは、EUの「伝統的特産品保証(TSG)」というルールで守られているのだ。 EU官報による「本物」の定義(要約翻訳) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:52019XC1227(03)&from=EN 1. …

【フィンランド・自然と生活 Vol.1】ネイチャーガイドが綴るフィンランド生活。薪の火と自炊、サウナから見えた「自然を享受する」本質

Moi! モスラです。 フィンランドでワーホリを始めて、ロシア国境近くのパリッカラ(Parikkala)でのステイを開始してから2週間が経ちました。 ここでの生活はとてもゆっくりと流れています。 犬の散歩をし、午後は家のお湯や暖房のためのセントラルヒーティングの管理。朝・昼・夕の三食はすべて自炊です。コンビニもありませんし、スーパーへは2週間に1〜2回、まとめて買い出しに行きます。 暖炉の前で火の番をしていると、薪がはぜるパチパチという音が響きます。その音を聴いていると、ふと日本でお世話になっているお茶屋の囲炉裏を思い出しました。 「手間暇をかける中にこそ、人の気持ちや思いなどの温かみがある。昔の暮らしに触れることで、そんなことを思い出してほしい」 ご主人のその言葉を、当時は言葉として理解したつもりでした。あえて現金のみ、電波も届かず、少し薄暗い。けれど火の音や暖かさ、木の温かみに気づけるそのお店の在り方を。しかし今、自然が近いここでの暮らしと向き合い、ようやく「体で理解できた」と感じています。 ■ 3時間、あるいはそれ以上「火」と向き合う 暖炉の管理には、毎日3時間以上はかかります。 温めにかかる時間は外気の気温にも左右されるため、寒い日ほど火との対話は長くなります。倉庫から薪を選んで運び出し、燃え方や持続時間を考えながら火を熾す。暖炉が壊れないように、送る酸素の量や火力をコントロールする。 時間はかかるし、火の前でできることは限られています。ですが、この火がなければ凍えてしまうし、シャワーを浴びることもできません。自分の手を動かした先にようやく得られる「暖かさ」は、スイッチ一つで手に入るものとは全く別質の、温もりです。 驚いたのは、その木々が、日々散歩している森の木をじっくり乾燥させて薪にしているということ。景色として眺めていた森が、年月を経て自分の生活につながっている。実感として自然とつながっている感覚が、ここにはあります。 ■ 「Hanki kanto(ハンキ・カント)」:言葉に宿る、暮らしの知恵 最近、耳に残っているフィンランドの言葉に「Hanki kanto(ハンキ・カント)」があります。 雪を意味する「hanki」と、支えることを意味する「kanto」。春先、溶けた雪が夜に凍り、表面がカチカチになった状態を指します。 これは「木を運べるほど硬くなった雪」という意味でも使われ、重い薪を運び出すための大切な季節のサインです。フィンランドの言葉には、自然と暮らしの関わりがそのまま溶け込んでいるのだと、凍った雪の上を歩きながら肌で感じています。 日本にいた頃もネイチャーガイドとして意識はしていましたが、今は、天気や気温、地面のぬかるみがそのまま自分の暮らしに直結している。言葉を詩として聞き流すのではなく、日々の生活を考えるための大切な指標として受け取っています。 ■ 「Kiitos saunasta(キートス・サウナスタ)」:日常に溶け込む感謝 …